コラム
COLUMN
2020.12.07 看護師コラム
【動物看護師コラム】誤食に注意⚠️
こんにちは。
動物病院への来院の理由で多いもので、誤食(食べてはいないものを食べてしまうこと)があります。
食べてしまった物によっては、消化管が詰まってしまう(閉塞)、消化管に穴が開いてしまう(穿孔)、全身麻酔下で開腹手術をしなければいけなくなるケースもあります。
また、人間が食べられるものでも、動物にとっては中毒症状を起こすような危険な食べ物だったり、身近にあるお花などの植物が動物にとってはとても危険なものだったりするので、注意が必要です。
誤食をしたことに気づくのが遅くなったり、放置してしまったりして処置が遅れてしまうと最悪の場合、死亡してしまうケースもあります。
今回は、誤食についてまとめてみましたので、是非参考にしてみてください。
こんなものが危険⚠
☑消化管が詰まってしまう危険性があるもの
・毛布
・ヒモ
・ボール
・ぬいぐるみ、綿
・サイズの大きいオヤツ
・ジョイントマット(特にフェレットさんが好みます) など
☑消化管に穴を開けてしまう危険性があるもの、炎症を起こしてしまうもの
・鳥の骨や竹串などの尖ったもの
・洗剤など強酸・強アルカリの物質
・ボタン電池 など
☑中毒症状を起こしてしまう危険性があるもの
・ネギ・玉ねぎ
・チョコレート
・カフェイン入り飲料
・アボカド
・ぶどう・レーズン
・ユリ科の植物
・殺鼠剤
・キシリトール
・人間用の解熱鎮痛剤
・タバコ
・保冷剤、車の不凍液(エチレングリコール) など
目の前で誤食してしまったとき
上記のようなものをご家族の目の前で誤食してしまったときは、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
食べたものの種類・時間の経過が浅いものによっては、催吐剤を用いて強制的に吐かせる処置を行うことが可能です。(吐かせると危険な物質については、催吐処置は出来ません。)
時間が経過してしまうと、胃から腸のほうへ物が流れてしまったり吸収されてしまったりするため、催吐処置が無効になります。その時は全身麻酔をかけて外科手術や内視鏡で摘出することになってしまう場合や入院して集中治療が必要になる場合もありますので、誤食を確認したらできるだけ早く動物病院へ向かいましょう。
来院する際には、誤食してしまったものと同じものがあれば持参していただきます。実際に大きさや材質などを確認することで、対応を検討することができます。
動物病院が診察時間外だった場合や、食べていけないものか分からない場合は電話で確認をしましょう。
・どんなものを食べたのか
・何時ごろ(何分前)に食べたのか
・どのくらいの量か
・嘔吐などの症状の有無
・動物種・年齢・体重など
をお電話口で伝えていただくとスムーズに対応が出来ます。
ヒモ状のものが口やお尻から出てきても、絶対に引っ張らないで!
知らない間にヒモを食べてしまっていた、という猫ちゃんやわんちゃんの飼い主さんがたまにいらっしゃいます。
特に猫ちゃんでは、ヒモで遊んでいた際に、ザラザラとした舌に引っかかり、どんどんと飲み込んでしまうことがあります。
ヒモ状のものが口やお尻から出てきた場合、絶対に引っ張ってはいけません。
無理に引っ張ることで、腸が手繰り寄せられて裂けてしまうことがあり、大変危険なためです。
ヒモが口やお尻から見えている場合は、お家で対処せずに、すぐに動物病院を受診しましょう。
こんな症状、誤食かも?
飼い主様がいない間に誤食をしてしまうと、気づかないケースもあります。
誤食した場合、
・1日に何度も嘔吐をする
・食欲の低下、腹痛
・ぐったりしている
・毎日排便していたのに1日以上出ない
などの症状が出ることがあります。
他の病気でもこのような症状が出るので、自宅での見極めは大変難しいです。
症状が出たらすぐに動物病院を受診しましょう。
誤食を防ごう!
誤食をすると、動物、飼い主さまともに大変な思いをします。
暮らしの中の工夫で誤食を防ぐことができるので、是非参考にしてください。
「うちの子は絶対に大丈夫!」と油断するのも禁物です。
本人が食べるつもりはなくても、飲み込んでしまうことも十分にあり得ます。
〇食べてはいけないものを、動物が届くところに置かない
食べて危険なものは床に置かない、棚の中に収納することを徹底しましょう。
自分で引き出しや扉を開けてしまうような場合は、ドアストッパーなどを用いて開けられない工夫をしてください。
〇お花など植物はなるべく飾らない
ユリ科の植物は特に危険です。花、葉、茎など植物全体に中毒成分が含まれていて、お花を飾っていた瓶の中の水にまでその成分が含まれています。
少しでも口にすると危険な植物なので、特に猫を飼っている方はお家にユリ科の植物を持ち込まないようにしてください。
〇散歩中はオヤツを持ち歩くなどして拾い食いをさせない
散歩中の拾い食いでお腹を壊すケースも多々あります。
また、植物を口にしてしまうケースもありますので、要注意です。
散歩中は好きなオヤツなどを持ち歩いて地面や植物などから気をそらす工夫をしましょう。
〇エネルギーを発散させてあげる
特に子犬、子猫はエネルギーが発散できずに、ひとりでオモチャで遊んでいるうちに食べてしまった、というケースもあります。
十分に遊んであげてエネルギーを発散させてあげましょう。
〇フードの量を確認する
フードの量が足りなくてお腹がすいている場合があります。
成長とともにフードの必要量も変りますし、フードの種類によっても体重によって与える量が変わります。
フードを与える量は種類や月齢によって確認する必要があります。
フードはg単位ではかって与えましょう。
フードの量が合っているか、ベストな体型なのか、おうちで判断するのが難しい場合は動物病院でチェックするのがおすすめです。
これからクリスマス、お正月の時期になり動物たちにとっても美味しそうなものや、キラキラして興味をそそられるものがお家の中に増えてくると思います。
クリスマスチキンの骨やプレゼントのヒモ、お正月の料理など、食べてしまいそうなものは飼い主さんがよく注意して誤食をしないように気をつけましょう。