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コラム

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2018.12.08 動物の病気

【獣医師解説】犬・猫の異物の誤食に注意!食べてはいけないものについて

動物と一緒に生活する上で注意したいこととして、誤飲誤食があげられます。与えてはいけないものとして、チョコレートや玉ねぎが特に有名です。

食べたものによっては、健康でとても元気な子が数時間で死亡してしまうこともあるので、飼い主の皆さんは自分のペットが何か食べてしまわないようにとても注意を払っていることと思います。しかし、そんな中でも動物病院への来院理由として「異物の誤飲誤食、中毒」はとても多くを占めています。

細心の注意していても起こってしまう可能性の高い誤飲誤食。動物に与えてはいけないものを列挙していくと途方も無い数があげられるので、今回は特に頻度の多いものを優先してまとめてみました。

中毒症状に注意!来院理由で多い誤食物質

「チョコレート・玉ねぎ(ネギ類)・キシリトールガム・たばこの吸い殻・かぜ薬などの薬」を食べてしまいましたという患者さまがとても多いです。中毒症状で運ばれる患者の約70~80%はこの5つの原因で占めています。

まずはこのメジャーな5つの原因について考えていきましょう。

チョコレート

チョコレートの原料であるカカオに含まれる「テオブロミン」という物質が中毒を起こします。そのため、食べたチョコレートの種類によって中毒を起こす量が変わってきます。もし犬や猫がチョコレートを食べてしまったら、そのチョコレートの種類と量をしっかり把握することが大切です。

「テオブロミン」はカフェインに類似する物質です。そのため、チョコレート中毒になってしまった時の症状は、私たちがカフェインを摂取した時に起こる症状に似ています。つまり、興奮する、脈が速くなる、多尿になる、などがわかりやすい症状です。また、下痢や嘔吐なども一般的に多く認められます。重症化すると心臓の不整脈や痙攣なども起こることがあります。

玉ねぎ

タマネギに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という物質が原因で中毒を起こします。

犬よりも特に猫は少量の玉ねぎにも反応してしまうので注意が必要です。

「アリルプロピルジスルフィド」は血液細胞の一種である赤血球を壊してしまいます。そのため、重度の貧血を引き起こしてしまう中毒です。赤血球が破壊されて貧血になたときは、黄疸(体や粘膜が黄色くなる)、血色素尿(赤黒いおしっこ)、舌の色がうすくなる、呼吸が速くなるなどの症状が認められます。

中毒量を大幅に超えた量を摂取してしまうとすぐに症状が出ますが、一般的にこの貧血が起こるのは玉ねぎを食べて48時間以上経過してからが多いので、誤食したその日が元気だったとしてもけっして油断してはいけません。

キシリトールガム

「キシリトール」は少量でも中毒になってしまう恐ろしい物質です。キシリトールガムだと数粒食べただけで命に関わる中毒を引き起こします。

「キシリトール」は重度の低血糖と肝臓壊死を引き起こします。症状は嘔吐下痢などの消化器症状の他に、虚脱(ぐったり)、けいれん発作などがみられます。低血糖の症状は誤食して1時間以内で起こりますので、早急な対処が必要になります。

タバコの吸い殻

受動喫煙によるタバコの煙が原因で動物も発がんリスクが大幅に高まることが知られていますが、吸い殻を誤って食べてしまった時も中毒症状が出てしまいます。

症状としては嘔吐、頻脈、興奮などが一般的です。

かぜ薬などの薬

薬の種類によって起こる症状や対処法は違ってきます。

特に問題となることが多いのがイブプロフェン中毒です。嘔吐などの消化器症状や、腎不全、けいれん発作などを引き起こします。特に猫では犬よりも少量で中毒になりますので注意が必要です。

もしも、犬や猫が誤食をしてしまったら?

万が一、自分のペットが誤飲誤食をしてしまったら、獣医師に指示を仰ぐべきです。その時は、「何を」、「いつ」、「どれだけ」食べてしまったのかをできるだけ正確に伝えてください。

もしも中毒症状が出てしまったら、自宅でできる治療はほとんどありませんので、できるだけ早く動物病院で治療を受けましょう。

動物病院で行う治療

体内に吸収されていない中毒物質が胃の中に残っていると考えられる場合は、まずは催吐処置を行い、中毒物質を吐かせます。状況によっては、麻酔をかけて胃洗浄を行い、中毒物質を摘出することもあります。

もし、摂取した中毒物質の解毒薬があれば投与しますが、多くの中毒物質には解毒薬が存在しないのが現状です。また、毒素の吸着を目的として、多くの場合、活性炭を投与します。

すでに中毒症状が起こっている、もしくはすでに体内に中毒物質が吸収されたと考えられる場合は、適切な検査を行い、原因物質や症状により様々な治療を行います。

誤飲誤食をさせないために

動物の生活環境を整えることが一番の予防となります。万が一に備えて、日々誤食をしないように心がけましょう。

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