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2019.05.24 看護師コラム

【動物看護師執筆】犬コラム③ 犬の習性と行動

今回は、犬の特徴的な習性や行動をまとめてみました。

リーダーを求める

犬は元来、群れで暮らしていた動物です。

人間と暮らすようになった今も、群れで暮らしていた頃の本能が残っています。

人間と同じように社会的な関りを求め、他者と強いつながりを求めます。

現在でも、家の中で尊敬できるリーダーを求めているため、家族の中にリーダーとなる人がいない場合、

または犬自身がリーダーになってしまった場合、手に負えなくなることもあります。

しかし、生まれつき人間界のルールが分かる犬はいません。

そのため、人間がこうしてほしい・これはしてほしくない、ということを教えていく必要があるのです。

人間が問題行動だ、と思っても

犬にしてみれば本能だから仕方ない、という行動もあるので理解が必要です。

マーキング

自分の縄張りを守るために行う自己主張の行動で、本能的に行うものです。

よく電柱や塀などに片足をあげてオシッコをかけていますが、この行為をマーキングといいます。

オシッコには性別や体の大きさなどさまざまな情報が含まれていて、

その情報を読み取り、それに自分のオシッコをかけて、自分の存在を強くアピールするのです。

家の中でもマーキングする場合、飼い主さんとの主従関係がしっかりしていない場合があります。

また、新しい同居人が家にやってきたとき、新しい家具などを設置したとき、

新しい家に引っ越したとき、精神的なストレスなどでも家の中でもマーキングが起こることがあります。

今まで家の中ではマーキングをしなかった犬が急にするようになった場合は病気や加齢によるものであることも考えられます。

吠える

犬は人間のパートナーとして、狩猟や牧畜などの仕事をするために多彩な種類が誕生してきた動物です。

人間に知らせる・侵入者を追い払う・獲物を追い詰めるなどの仕事を担う犬は特に吠えやすくなっています。

そんな犬たちにとって、吠えることはとても自然なことです。

なかには吠えにくい犬種もいますが、基本的に犬は吠える動物という理解が必要です。

「吠え」にも種類があって、

飼い主に何かしてほしくて吠える「要求吠え」

何かに警戒して吠える「警戒吠え」

楽しい時やうれしいときに気持ちが高ぶって吠えてしまう「興奮吠え」

などです。

大前提として、犬は吠える動物といいましたが、

飼い主さんの中で犬の鳴き声にお困りの方は多いと思います。

犬が吠えるのには理由があるので、犬がいつ、どの場面で吠えるのかを明確にし、

対処していく必要があります。

マウンティング

犬がほかの犬や人、ぬいぐるみなどに対して自分の腰を押し付けて、腰を振る行為です。

性的な意味合いですることもありますが、

「相手に自分の強さを示す」意味合いですることが多いです。

雌犬でもマウンティングが見られるのはこのためです。

飼い主にマウンティングをする場合、犬が飼い主に対して「自分のほうが強い」とアピールしています。

犬との信頼関係を見つめなおす必要があります。

うれしい時や興奮したときに飼い主の手足やぬいぐるみなどにマウンティングするケースもあります。

パンティング

気温が高い時や運動した時、興奮している時などにみられる、

口を開き、ハアハアと浅く早く呼吸している状態のことです。

健康な状態のパンティングは、主に「体温調節」を目的として行う行動です。

人間のような汗腺が、犬は足裏など一部にしかないため、人間のように汗で体温を調節することができません。

また、犬は全身を被毛で覆われているため、熱が体内にこもりやすく、

気温の高い夏場はもちろん、気温が低くてもお散歩や運動で体温が上がります。

そのため、パンティングによってこまめに体温を下げる必要があるのです。

緊張や不安でパンティングをすることもありますし、

ケガや痛みを伴う病気などで苦痛を感じている場合にパンティングをすることもあります。

見るからに苦しそうな場合やパンティングをしながら苦しい鳴き声を出すなど症状があれば病院での診察をおすすめします。

また、短頭犬種の場合は、呼吸器官の形状特徴から、パンティングの際に雑音が混ざる場合もあります。

パグ、フレンチブルドッグ、狆、シーズー、ブルドッグ、ペキニーズなどです。

短頭犬種は、パンティングで体内から熱を逃がすのが得意ではなく、

熱中症になるリスクも他の犬種より高いので、注意が必要です。

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