コラム
COLUMN
2020.08.22 看護師コラム
【動物看護師執筆】エリザベスカラーって何?
エリザベスカラーというものはご存知でしょうか?
首に付けるラッパのような形をしたものです。
動物が自分で傷口を舐めることでそこから細菌が入ったり、傷口が広がったりしないようにするための保護器具です。
エリザベスカラーを初めて付けるわんちゃん・ねこちゃん、そして飼い主さまも慣れるまでは不安や心配があるのではないかと思います。
「かわいそう」「窮屈そう」「普段通り生活できるのかしら・・・」など
マイナスなイメージの声もたくさん聞かれるのですが、
エリザベスカラーを付けないといけない理由がきちんとあります。
工夫次第で、ほとんどの子は普段通りに生活ができます。
今回は、エリザベスカラーの必要性、ストレスを減らす工夫の仕方についてまとめますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
エリザベスカラーの必要性
手術や怪我などの治療をした後、エリザベスカラーを付けることがよくありますが、これは傷口を舐められないようにするためです。
傷口の痛みや痒みによって、動物はどうしても自分で傷口を舐めたり噛んだりしてしまい、そこから細菌が入って化膿してしまったり、傷口がさらに広がってしまいます。
中には手術時に縫合した糸を自分で抜糸してしまう子もおり、傷が開いてしまった場合は再度麻酔をかけて縫い直さなければなりません。
傷を最短で治すには舐めない=エリザベスカラーの装着が不可欠です。
また、何らかの原因で目に傷ができてしまった場合や、耳がかゆくて掻きむしってしまうような子にもエリザベスカラーが有効です。
付けずに放置しておくと、自分で掻くことでさらに症状が悪化してしまい、エリザベスカラーを付けるよりも辛い思いや痛い思いをさせてしまうことになります。
エリザベスカラー装着時の食事の工夫
エリザベスカラーを付けたまま食事をしたり、お水を飲むのが難しそうな場合は、お皿を置く位置を高くしてあげるだけで、食べやすくなります。
・お皿を10センチくらいの台の上に乗せる
・高さのあるお皿で食事を与える
・丁度いい高さの台が自宅にない場合は、食器等を裏返した上にお皿を置き、ガムテープなどで固定する
などの方法があるので試してみてくださいね。
最初は慣れないエリザベスカラー生活に戸惑っている子も、2,3日で慣れてくれることが多いです。
しかし中にはエリザベスカラーを付けると全く動けない、ご飯も食べないという子もいます。
その場合はかかりつけの動物病院に相談しましょう。
また、飼い主さまが見ていられるようであれば、食事のときだけなど一時的にエリザベスカラーを外していただくこともできます。
外したあと傷口を舐めるなどの行動が見られた場合は、すぐに再装着してください。
お散歩については、獣医師の許可があれば装着したまま行ってもいいですし、外して飼い主さまが様子を見ながら行ってもいいでしょう。
ただし、傷口に泥水がついたりして汚れることのないよう、注意が必要です。
エリザベスカラー装着時の注意点
エリザベスカラーを選ぶ際に大切なのは、
・エリザベスカラーより鼻が出ないか
・首回りの大きさは適切か
・広がりの大きさは適切か
の3点です。
エリザベスカラーよりも鼻が出てしまうと、傷口に口が届いてしまう可能性が高いです。
本来の役目を果たせないので、エリザベスカラーの長さより鼻が出ないものを選びましょう。
エリザベスカラーを付けた際、首とエリザベスカラーの間に人の指が2,3本入るくらいが丁度いい具合です。
それ以上きつくしてしまうと動物が苦しい思いをすることになりますし、
それ以上緩めてしまうと、首からエリザベスカラーが外れてしまうことがあります。
きつすぎず、首から外れることのない程度に、エリザベスカラーの首回りを調節しましょう。
コーギーやミニチュアダックス、マンチカンなどの足の短い種類は、広がりの大きすぎるエリザベスカラーをつけてしまうと床にエリザベスカラーが当たって上手く歩けなくなってしまいます。
適切な広がりのものを選ぶことが大切です。
エリザベスウエア
数年前からはエリザベスウエアというものもあります。
お腹に手術の傷があるとき、お腹の皮膚を執拗に舐めてしまう場合などに着せる、洋服のようなものです。
※エリザベスカラーのように、目や耳などの顔回りや足までは保護できません。(保護できるのは洋服を着ている部分だけです)
避妊手術やお腹を開ける手術の後などで、
エリザベスカラーがどうしても苦手な子にはエリザベスウエアのほうがストレスが少ないかもしれません。
ただし、エリザベスウエアを嫌がって自分で噛みちぎってしまう場合や脱いでしまう場合はやはりエリザベスカラーのほうが適しているでしょう。
またインターネットで「エリザベスウェア」と検索すると色々な製品が出て来ますが、中にはかなりペラペラだったり、すぐに脱げてしまうなどしっかり役目を果たさないものもありますので、こちらの物をおすすめしています。
動物病院以外で購入する場合
今はインターネット等でもたくさんの種類のエリザベスカラーが販売されています。
かわいいデザインもたくさんあって魅力的ですが、
一番大切なのはエリザベスカラーとしての役割をきちんと果たせるかどうかです。
そして、ペットの負担ができるだけ少ないものを選ぶのも大切です。
・大きさは適切か?
・エリザベスカラーより鼻が出ないか?
・重さは適切か?
・自分で外せるようなものではないか?
など、再度確認してから選ぶようにしてください。
当院でお出ししているものは、プラスチック製のクリアタイプのエリザベスカラーです。
エリザベスカラーを付けていても、周りがよく見えることは動物のストレス軽減になるかと思います。
今回はエリザベスカラーについてまとめてみました。
生涯に1度は付けるものかと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ご質問やご相談等あれば、お電話などでも受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。