コラム
COLUMN
2020.12.07 Cat Friendly 動物の病気
【獣医師解説】猫ちゃんの膀胱炎の季節です
毎年寒くなると猫ちゃんの膀胱炎が増えます。
当院でも先月ごろから1日1頭は膀胱炎の猫ちゃんが来院されています。
膀胱炎の症状として1番多いものは頻尿で、それ自体はすぐに命に関わる問題ではありません。(膀胱炎になったことのある方はお分かりだと思いますが、命に関わらないとはいえ結構辛いです…💦)
しかし特にオスの猫ちゃんは、炎症産物や石がペニスに詰まる尿道閉塞を起こす危険性があり、これは早期に適切な治療が行われないと死に至ります。
(※先日メスの猫ちゃんの尿道閉塞にも遭遇したので、メスだから大丈夫というわけではありません)
今回は寒い時期に膀胱炎が多発する理由と予防法について解説していきます。
今現在膀胱炎を発症してしまっている猫ちゃんの飼い主さんは、治療や再発の防止につながりますのでぜひ実行してみてください。
健康な猫ちゃんの飼い主さんも、愛猫ちゃんが膀胱炎にならないために参考にしてくださいね。
腎臓病の子の場合にも、飲水量を十分に確保することはとても大切ですので、ぜひ参考にしてみてください。
寒さと膀胱炎の関係は?
はっきりとしたデータがあるわけではありませんが、以下のような理由が考えられます。
・寒い → ストレス → 膀胱炎
・寒い → 水が冷たい → 水を飲みたくない → 尿量の減少 → 膀胱炎
・寒い → 動きたくない → 水飲み場まで行かない → 尿量の減少 → 膀胱炎
つまり、寒いこと自体のストレスと飲水量の減少が膀胱炎の原因となると考えられています。
“猫ちゃんの飼い主さんに知っておいてほしいこと“でも解説していますが、猫ちゃんはストレスで膀胱炎になってしまいます。
なるべく部屋を暖かく保つなど寒冷ストレスを軽減してあげてください。
その他にもストレスを減らす工夫は色々ありますので、こちらをお読みください。
さらに元々猫ちゃんはあまり水をたくさん飲む生き物ではありません。
先祖が砂漠で生活していたことから、少ない水でも生きていけるような体の仕組みになっています。
実際に膀胱炎の猫ちゃんの尿検査をすると、非常に濃いおしっこであることが多いです。
つまり体は軽度に脱水している状態で、尿を濃くして水分を節約しているのです。
それにより腎臓に負担がかかったり膀胱炎になりやすいため、健康のためにはしっかり水分を取ることが大切です。
飲水量を増やす方法は?
猫ちゃんに「もっと水を飲みなさい!」と言っても飲んでくれるわけではありません。
そのため色々な工夫が必要になります。
以下にいくつか方法を解説していきます。
フードをふやかす、ウェットフードにする
ドライフードにはあまり水分が含まれていません。
そのためドライフードを食べている子の場合は食事から取れる水分が少ないので、食事を変えてあげるのが1番簡単かもしれません。
しかし、猫ちゃんは新しいものを警戒する傾向があるので、いつもドライしか食べていない子は受け付けない可能性もあります。
水入れを変えてみる、設置場所を増やす
猫ちゃんはステンレスのような器よりも陶器を好む傾向があると言われています。
また深すぎるお皿は髭が当たって嫌がる子もいるため、浅めにしてみてもいいかもしれません。
流れる水やお風呂場の水を好む子もいますので、その子その子に合わせた水飲み場を工夫してみてくださいね。
また、水の設置場所はフードの隣よりも、少し離れたところの方が良いと言われています。
水を設置する個数は、飼育頭数+1が基本ですが、この時期はもう少し増やしてみてもいいかもしれませんね。
水→ぬるま湯にする、少し味を付けてみる
キンキンに冷えた水を嫌う猫ちゃんも多いです。
この時期はすぐに冷えてしまうので、ぬるま湯をこまめに入れるようにすると飲んでくれる子もいると思います。
ささみの茹で汁などを好む子もいるかもしれません。
またチュールなどが大好きな子は、水にほんの少しチュールを混ぜてみるとよく飲んでくれるかもしれません。
先月ピュリナから猫ちゃん用の経口補水液「ハイドラケア」が発売されました。
猫ちゃんが喜んで飲んでくれるような味になっているので、気になる方はお問い合わせください。
トイレについて
トイレの環境を整えてあげるのも、膀胱炎を防止するためには大切です。
トイレの個数は飼育頭数+1必要です。
猫ちゃんはとても綺麗好きなので、1日2回はトイレを掃除して、週に1回は砂を交換してあげましょう。
さらに月に1回はトイレを洗浄し、日光消毒するようにしてください。
また猫砂も好みがあります。
粒が大きいもの、小さいもの、紙素材のもの、木のチップのものなど、色々あります。
お気に入りのものが見つかったら、変更しないようにしてあげてください。
(※猫砂を変更しただけで膀胱炎になる子もいます。)
トイレの置き場所は静かな、無臭の場所が良いと言われています。
そして大きさは、中で向きを変えられるくらい十分な大きさが良いとされています。
目安としては体長の1.5倍です。
他にも、適度に運動をさせて肥満を予防することも大切です。
生活の中でできる限りの工夫をしていただき、膀胱炎を予防していきましょう。
繰り返す膀胱炎にお悩みの飼い主様や、膀胱炎になっていないか心配な飼い主様はお気軽にご相談くださいね。