コラム
COLUMN
2019.04.26 動物の病気
【獣医師解説】犬の消化管寄生虫①〜症状・検査・治療法について
今回は消化管寄生虫、つまり「おなかの虫」についてのお話です。人ではギョウ虫検査(おしりぺったん)も感染率の低下により3年前に廃止されましたが、動物では多くみられます。
消化管寄生虫と言ってもかなりの種類があるため、今回は動物病院で多くみられるものについて解説していきます。
消化管寄生虫の症状
成犬であれば無症状(不顕性感染)のことも多いです。ある日突然便に虫が出てきた!ということもよくあります。しかし子犬では、消化吸収不良の原因になったり、下痢を起こしたりと成長の妨げになることが多く、命に関わることもあります。
消化管寄生虫の検査方法
検出は主に糞便検査(直接法、浮遊法など)で行います。排便後はなるべく早めに動物病院に持ってきてください。
・直接法
顕微鏡で直接便を観察します。コクシジウムやジアルジア、トリコモナスなどが検出されることがあります。
・浮遊法
飽和食塩水に便を少量溶かして虫卵を浮遊させます。回虫、鉤虫などの虫卵が検出されることがあります。
1回の検査で検出されればよいのですが、寄生数が少なかったり、検査で使用した便にたまたま虫卵などが含まれなかったりすると、検出されないこともよくあります。そのため、繰り返し検査を行うことや遺伝子検査を行うこともあります。
消化管寄生虫の治療法
寄生虫の種類に合わせた駆虫薬を投与します。数回の駆虫が必要になることもあり、定期駆虫を勧めるケースもあります。
またほとんどの寄生虫は経口感染するため、糞便を適切に処分し、虫卵を再度口にしないように気をつけることも大切です。
次回はそれぞれの消化管寄生虫についてさらに詳しくまとめていきますのでよろしくお願いします。
また、犬の下痢について以下の記事で詳しくまとめていますのでそちらも参考してみてください。