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コラム

COLUMN

2019.10.11 看護師コラム

【動物看護師執筆】犬コラム⑧ ワクチン接種

ワクチンとは感染症を予防するために病原体を無毒化または弱毒化した薬液です。

ワクチンを接種すると、感染症に対する免疫力をつけることができます。

狂犬病ワクチン

狂犬病とは、ウイルスによって引き起こされる人と動物の共通感染症です。

人も動物も発症するとほぼ100%死亡します。

今も世界の多くの国で狂犬病が発生しており、年間3万~5万人が命を落としています。

唯一の予防方法は、ワクチン予防接種で、発症を未然に防ぐことです。

日本では、狂犬病予防法で犬の登録と年一回の狂犬病予防接種が義務付けられています。

★どうして犬に狂犬病ワクチンを受けさせなければいけないの?

狂犬病はすべての哺乳類に感染しますが、蔓延の原因となる動物は限られており、

アジア地域等、狂犬病の流行国では犬が主な蔓延源となっています。

従って、飼い犬に狂犬病の予防接種を接種することで犬の蔓延が予防され、人への被害を防ぐことができます。

日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えて、飼い犬の狂犬病予防接種が義務づけられています。

混合ワクチン

何種類かの病気を同時に予防するワクチンです。

☆予防できる病気

・ジステンパー

ジステンパーウイルスの感染によって発症します。このウイルスは感染犬の鼻水、目ヤニ、尿などに含まれます。発熱、下痢、鼻炎、結膜炎、呼吸器及び消化管障害を示し、神経症状を起こすこともあります。特に子犬では死亡率の高い感染症です。

・犬パルボウイルス感染症

激しい下痢、嘔吐を起こし、食欲がなくなり衰弱していきます。また、子犬では突然死することもあります。感染犬の便中には大量のウイルスが排泄され感染源となります。伝染力が高く、ジステンパーと並んで子犬にとって死亡率の高い感染症です。

・犬パラインフルエンザウイルス感染症

パラインフルエンザウイルスによる呼吸器病で、咳や鼻水、扁桃炎を起こします。アデノウイルスや細菌といっしょに「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群を引き起こします。感染犬は咳などでウイルスをまき散らします。混合感染や二次感染を起こすと重篤になります。

・犬伝染性肝炎

アデノウイルスによる感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢、食欲不振などが起こり、目が白く濁ることがあります。子犬では突然死することもあります。

・犬アデノウイルス2型感染症

アデノウイルスによる感染症で、肺炎や扁桃炎などの呼吸器病を起こします。特に、ほかのウイルスや細菌と混合感染することにより症状が重篤になります。

・犬レプトスプラ病

レプトスピラという細菌が原因の感染症で、感染動物の尿中に細菌が排泄され環境を汚染し感染源となります。腎臓や肝臓が侵される、人間と動物共通の怖い感染症です。アウトドアで活動する犬ほど感染しやすいので予防が大切です。

コアワクチンとノンコアワクチン

★コアワクチンとは

生活環境に関わらず、全ての犬が接種すべきと考えられているワクチンです。

これらの対象となる感染症は世界中で発生が認められていて、重篤な症状を示すものです。

コアワクチンの対象になる感染症

・狂犬病ワクチン、ジステンパーウイルス感染症、パルボウイルス感染症、アデノウイルス感染症、犬伝染性肝炎

★ノンコアワクチンとは

住んでいる地域や生活スタイルによって感染リスクが高い場合に接種することが推奨されているワクチンです。

ノンコアワクチンの対象になる感染症

・レプトスピラ感染症、犬パラインフルエンザ感染症など

ワクチンの副反応

ワクチンの副反応として、わんちゃんによっては体調が悪くなったり、稀にアナフィラキシーショックを起こすこともあり得ます。

アナフィラキシーショックは、ワクチン接種後10~30分以内に起こることがほとんどですので、しばらくは動物病院にいるなどして様子を見ましょう。

アナフィラキシーショックの症状:けいれん、血圧低下、興奮、よだれ、嘔吐、呼吸困難など

そのほかの副反応

・顔が腫れる

・目の周りが赤くなる

・発熱

・元気消失、食欲低下

・下痢、嘔吐

・体のかゆみ など

ワクチン接種後に、上記のような症状が現れたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

ワクチン接種にあたっての注意

ワクチン接種による副反応が出た場合すぐに対処できるように、ワクチン接種はできるだけ午前中に済ませましょう。午後の時間に接種した場合、数時間後に副反応が出ても動物病院が閉まってしまい対処できなくなる場合があるためです。

ワクチン接種後は、激しい運動などは控えて、安静に過ごしましょう。

ワクチンの時期について

子犬の場合、母乳から受け継いだ免疫力(移行抗体)がありますので、生後数週間はワクチンを接種してもその効果が得られません。

この抗体が切れるころには(生後2~3か月くらい)混合ワクチン接種が必要となります。

1回の接種だけでは十分な抗体が作られないため、1か月後とさらにその1か月後に追加接種をします。

成犬は、一年に一度狂犬病ワクチンと、混合ワクチンを接種しましょう。

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