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コラム

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2019.11.14 看護師コラム

【動物看護師執筆】犬コラム11 シニア介護

犬の介護とは、愛犬が自分で出来なくなったことを手助けすること。

どのようにして介護をすれば良いのかをまとめたので、参考にしてみてください。

食事の介護

何度も食べたがる場合、食べたことを忘れている場合があります。1回の食事量を減らし、一日数回にわけて食事を与えるようにしましょう。食べづらそうな場合、首を下に向ける姿勢がつらいのかもしれません。お皿の位置を高くして、楽な姿勢で食事ができるように工夫をしましょう。小さいテーブルの上にご飯皿を置くとか、雑誌や本を積み重ねた上にお皿を置くなどして高さを作りましょう。

ご飯を食べなくなった場合、病気のサインかもしれません。獣医師に相談しましょう。歯周病や、歯が抜け落ちたことによる痛みの場合もあります。ドライフードなら、お湯でふやかしてあげると食べやすくなります。また、お湯でふやかすことでご飯のにおいが増し、食欲がアップします。

自力でご飯が食べられない場合は口の中へご飯を入れてあげると自分でモグモグと食べる子もいます。そうでない場合は、流動食を注射器にいれ、犬の口の中に少しずつ流し込む、強制給餌といった方法でご飯を与える必要があることも。気管への入り込みに十分注意が必要です。

いずれにせよ、自力でご飯が食べられなくなったときは一度病気を疑うこと、ご飯のあげ方も含めて、獣医師へ相談するのが良いでしょう。

生活環境の見直し

壁に頭をぶつけたり、狭いところに入ってしまったりするので、行動範囲を制限して、障害物をなくしてあげましょう。サークルにクッション性のあるマットを取り付けたり、子供用のプールを利用するのもよい方法です。

夜鳴き

なるべく昼夜が逆転しないように生活させましょう。
昼間に寝ていたら無理のない範囲で起こして散歩をしたり、日光浴をしたり、おもちゃで遊ぶなどして、夜にしっかり寝れるようにしましょう。

排泄

トイレまでたどり着く脚力がない場合、行動範囲の中にトイレを設置しましょう。トイレの場所が分からなくなっている場合、犬は嗅覚が発達しているので、オシッコのにおいのついたシーツをかがせてトイレまで誘導しましょう。

どうしても失敗する場合はオムツを利用しましょう。オムツを利用する場合は皮膚が荒れていないかどうかもチェックをしましょう。

たとえ愛犬がトイレを失敗しても怒らないであげてください。飼い主さんが悲しそうにしていたり、叱られたりするのを犬は敏感に感じ取りますし、飼い主の前でトイレをすること自体が悪いことと誤解してしまう可能性があります。

散歩

散歩に行きたがらなくなったり、途中で止まってしまったりするかもしれません。だからといって、散歩に行かないようにすると、どんどん脚力が落ちていき、老化が進んでしまいます。できる限り散歩は続けましょう。

ヨタヨタでうまく歩けない場合や寝たきりの場合、ハーネスで補助して歩かせたり、抱っこしたり、カートに乗せたまま外へ連れ出してあげることで刺激になり、気分転換になります。

褥瘡(床ずれ)

褥瘡(じょくそう)とは、マットや床と長時間、犬の体が接し、圧迫されることにより血流が悪くなり、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。自力で体位変換できなくなった犬は、体重で長時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより褥瘡が出来ます。また、皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。

褥瘡ができやすい場所は肩、肘、腰、足首の部分などの骨が出っ張ったところです。

褥瘡(床ずれ)の予防

・排泄物はすぐにふき取り、体を清潔に保つ

・体圧分散マットを用意し、横になっている時に一か所に体重が集中しないようにする

・愛犬の体を触って骨を感じるところで、寝ている時に床と接する部分が床ずれしやすい部分なので、タオル等で保護する

・2時間を目安に体位の変換(寝返り)をする。(皮膚の状態をよく見ながら時間は調整しましょう。体位変換するときはなるべく背中が上になるようにして動かしてください。おなかを上にして回すと内臓に負担がかかるためです。)

・皮膚に負担がかからないよう、引きずったり、こすったりしないこと。

褥瘡ができてしまったら

皮膚が赤くなる、ジクジクする、毛が分泌物でベタベタするなどの症状が見られたら褥瘡の始まりです。症状が悪化しないためにもなるべく早めに動物病院を受診しましょう。傷口を清潔にし、圧迫がかからないように処置することで回復に向かいます。介護はとても大変で手がかかるかもしれませんが、これまで愛犬がたくさんの愛情と癒しをくれた分のお返しの時間だという気持ちでいれば、受け入れられるかもしれませんね。

今回は犬の介護についてまとめました。分からないこと・相談等ございましたらお気軽に当院にお越しください。
また、ウチではこうしてるよ、こんなグッズを使ってるよ、という報告やアドバイスをいただけたら嬉しいです。多くのシニアのわんちゃんが幸せに、快適に暮らせるように共有できたらいいなと思っています。

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