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2020.05.02 コラム 動物の病気

【獣医師解説】わんちゃんの飼い主さんに知っておいてほしいこと

おうちで過ごす時間が増えている今、大切な家族であるわんちゃんについて色々調べている方も多いのではないでしょうか。
しかし今は情報が溢れておりどれを読めばいいかわからない…という方もいらっしゃると思います。
そこで今回はわんちゃんの飼い主さんにぜひ知っておいてほしいことをまとめてみました(ちょっと色々詰め込みすぎてボリューミーになってしまいました 😯 )ので、参考にしてみてください😊

平均寿命がどんどん伸びている

わんちゃんの平均寿命は、10年ほど前は13.3歳でしたが、現在は14歳と伸びてきています。
当院にも小型犬では15歳以上の子もたくさん来院してくれています!(最高齢は先日19歳になったチワワさんです👏)

わんちゃんは7歳ごろからシニアになります。
シニア期には人と同様に腫瘍や心臓病、腎臓病、関節炎、認知症などの疾患が出てきやすくなります。
それらの病気の始まりは「散歩の時間が短くなった」「よく寝るようになった」「怒りっぽくなった」など、わかりにくかったり、全く無症状のこともあります。
早期発見、早期治療をすることで病気の完治又は進行を抑制することができるかもしれません。
ささいなことでも「年だからかな、、、」と諦めずに動物病院を受診しましょう。
当院では定期的な(年に1回、シニアでは年に2回)健康診断をおすすめしています。

また腎臓病や糖尿病などでは飲水量が増えます。
一緒に過ごす時間が長い今、飲水量を測定してみてはいかがでしょうか。
1日に体重×100ml以上(例えば5kgの子で500ml以上)飲んでいると明らかに異常です。
そこまで多くなくても、それに近ければ異常の可能性があるのでご相談ください。

予防について

最初にわんちゃんを飼い始めたときに色々説明を受けたけどややこしくて忘れてしまった!という方は少なくないと思います。

わんちゃんに最低限必要な予防は

の4つです。

特に狂犬病ワクチンの接種は犬の飼い主に定められた義務です(狂犬病予防法)。
日本国内では50年以上発生はありませんが、世界的には未だに年間5万人以上の死亡者が出ています。
狂犬病は発症するとほぼ100%助かりません。
新型コロナウイルス感染症でも明らかなように、一旦海外から日本に持ち込まれた感染症は容易に拡大していきます。
そういった事態を防ぐために狂犬病ワクチンは必ず接種しましょう。

狂犬病ワクチンを接種し市町村に登録をすると「鑑札」が発行されます。
鑑札はわんちゃん1頭につき一生に1回だけ発行されるもので、毎年ワクチン接種時に発行される注射済票とは異なります。
首輪につけるなどして、失くさないようにしましょう☝️ ※鑑札の再発行には費用がかかります。

左が福井市の鑑札、右が注射済み票です。

その他には、避妊・去勢手術についても将来的な病気のリスクを予防するためにおすすめしています。【獣医師解説】避妊手術について

歯周病がとても多い

3才以上のわんちゃんの8割以上は歯周病に罹患しています。特に小型犬は注意が必要です。
歯周病が進行すると口臭や口の痛みが出てくるだけでなく、口の中の細菌が全身に回って臓器に負担がかかり腎臓病や心臓病などの疾患のリスクが高くなります。
歯周病は単に口の問題ではなく、顎の骨を溶かし、他の臓器も脅かす感染症です。
軽度であれば歯を残し治療することができますが、重度の場合は歯を抜く以外の選択肢が無くなってしまいます。
毎日歯磨きをしている人間でも、3ヶ月に1回のクリーニングが推奨されています。
ぜひ歯周病は早めにご相談ください。

硬いものを与えないで

わんちゃんは硬いものをかじるのが好きだし、長く遊んでくれるから与えているという飼い主さんは多いのではないでしょうか。
しかし、実は歯が折れてしまうことがとても多いのです。
骨、豚のヒヅメ、鹿の角などは特に危険です。残念ながら犬用に販売されているものだから大丈夫というわけではありません。
歯が折れてしまうと抜歯しなくてはいけなくなることが多いです。
指で押して曲がるくらいのものであれば安全と言われていますが、わんちゃんの大きさや年齢などにもよりますので、注意して与えてください。

ちなみにわんちゃんが硬いものを噛むメリットは、ほとんどありません。
歯磨きの代わりにもなりませんから、やめておきましょう。
歯磨きガムの選び方についてはこちらをお読みください。

おやつは与えすぎないで

喜んで食べてくれるから、とついついおやつを与えてしまいますよね。
しかし体の小さいわんちゃんにとっては、少しのおやつでもこちらが思っているより与えすぎになっていることが多いです。
例えば5kgのわんちゃんにジャーキーを1日1本与えている場合、60kgの人間だと1日12本も食べている計算になります。

栄養学的には、「総合栄養食」と記載のあるドックフードを与えている場合にはおやつは必要ありません。
どちらかというと飼い主さんとわんちゃんのコミュニケーションでの役割が大きいと思いますが、
おやつにより栄養バランスが崩れてしまう可能性がありますので、おやつは全体のカロリーの10%程度にしましょう。
そしておやつを与える分はフードを減らさなければいけませんから気をつけてください。

人間と同様に、わんちゃんでも肥満は万病のもとです!

犬種によってなりやすい病気がある

すでにご存知かもしれませんが、犬種によって発生しやすい疾患があり、獣医師も犬種を考慮して診察を行なっています。
代表的なものを以下少し挙げますが、記載のない犬種に関しては診察時にお尋ねください。
※純血種のミックスは両親どちらの病気も出る可能性があります。

  • 僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)
    チワワ、キャバリア・キング・チャールズスパニエル、マルチーズ、ポメラニアン、トイプードル など
    中〜高齢で発病しますが初期はほとんど症状がありません。
    聴診だけで発見できますので、定期的に診察を受けましょう。
  • 椎間板ヘルニア
    ミニチュアダックスフンド、コーギー、ペキニーズ、シーズー、ビーグル、トイプードル など
    若齢でも発症することがあります。
    腰に負担をかけない生活を心がけましょう。
  • アトピー性皮膚炎
    柴犬、シーズー、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバー など
    環境抗原(ハウスダスト、花粉など)に対してアレルギーを起こし皮膚が痒くなる病気です。
    3歳までに発症することが多いです。
    上手に付き合っていく必要があるので、子犬の頃からスキンケアをする習慣をつけておきましょう。
  • 骨折
    トイプードル、ポメラニアン、チワワ、イタリアン・グレー・ハウンド など
    0〜1才での発生が最も多いです。
    鉛筆くらいの細い骨をしている子が多いため、人間がしっかり注意してあげてください。
  • 膝蓋骨内方脱臼(パテラ)
    トイプードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリア など
    先天的に膝のお皿が外れやすい病気です。
    悪化させないために膝に負担をかけない生活を心がけましょう。

いかがでしたか?
全部知っていた方はわんちゃんマスター!すばらしいです!
他にもわんちゃんで多い病気についてのコラムを掲載していますので、お時間があれば読んでみてくださいね♪

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